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2005年7月20日 (水曜日)

Shareholderはイギリス英語で、アメリカだとstockholderなのか

なぜか手元にある電子辞書で「株主」の英訳を引くと、アメリカだとstockholderで、イギリスではshareholderと言うのだとなっています。そんな馬鹿なと思って、ネットでwww.excite.co.jpやwww.goo.ne.jpにある和英辞典で確かめても、やはり同じ。どうしたことでしょう。

誰が言い始めたのか知りませんが、あとで説明するとおりshareholderがイギリス英語ということはありません。それより、何度も改訂しているであろう辞書において、こういった間抜けな間違いがいつまでも訂正されずに残っていることの方が問題です。

何であれ、株主とはどういうもので、なぜ、shareholderとstockholderという二つの言い方が使われているのか、さらに、アメリカだとshareholderとは言わないのかという点を見ていきましょう。

★ shareholder 対 stockholder

株主とは会社のオーナーのことです。株主は自分の持っている持ち分つまり株式の数に応じて、議決権を行使し (exercise one's voting rights)、会社の業績に応じた配当金を受け取る権利を有します (be entitled to dividends)が、ここでの持ち分を指してshares of stockと言い、それを保有する人を指してshareholderとかstockholderと言います。

このshares of stockは、stockの分け前ということですから、stockをアップルパイに見立てれば、パイの一切れがshareに相当します。それでは、このstockは何かと言えば、capital stockとも称されることに表れているとおり、事業の元手すなわち資本金です。

事業を起こすに当たって出資者たちが出し合った元手がcapital stockすなわち資本金であり、Aが50万ドル、Bが30万ドル、そしてCが20万ドル出して会社を始めたというケースであれば、100万ドルのcapital stockのうちAは50%の持ち分 (interest)、Bが30%の持ち分、そしてCが20%の持ち分を有していることになり、株主総会での議決権や利益分配の請求権(配当金請求権)がこれに左右されることになります。そして、このような持ち分を指して英語ではshareと言うのです。

したがって、同じように会社のオーナーを意味していても、元手上の持ち分を有している側面に着目すれば、shareholderであり、元手そのものの出し手ないし所有者であるという側面に着目すればstockholderとなります。要するにアップルパイの一切れに着目するか、アップルパイの全体に着目するかという点だけの違いです。

しかも、shareholderという呼称なのか、stockholderという呼称なのかで、権利義務において違いがあるわけでもなく、したがって、区別の実益がありません。

おわかりのとおり、株主を指して言うにshareholderか、あるいは、stockholderなのかという問題は、株式がshareなのかstockなのかという話と同じで、ここでも区別の実益がありません。株式はshareと言ってもよく、stockと言っていいということです。

★ shareholderはイギリス英語か

たしかにイギリス英語の場合、stockholderよりはshareholderという方がとおりがいい感じはあります。しかし、その程度のことでしかありません。自社の株主をstockholderと呼んでいるイギリス企業はいくらでもありますから、株主はイギリス英語ではshareholderという、辞書に見られる記述は間違っています。

またイギリスといえども株式を指してstockと言うのはごく普通のことであり、証券取引所や株式市場を指してshare exchangeだのshare marketなどと言ったら笑われます。証券取引所はstock exchangeで、株式市場はstock marketに決まっているのです。顧客から株式売買の委託注文を受けるブローカー(証券会社)もsharebrokerとは言わず、stockbrokerに決まっています。

ただ、イギリスの場合、stockに関して一つだけ注意をする必要があるのは、借入金、端的には債券を意味することもある点です。ですから、loan stockとあれば、普通は、企業の発行する債券を意味しますし、国債も、有名なギルト債を指してgilt-edged stockと言うぐらいですから、government stockと言っています。これを公的な株式かのように訳したら一気に評判を落とすことでしょう。

一方、イギリス英語だとshareholderが多いから、アメリカはその逆でstockholderが一般的かと言うと、そんなことはありません。

例えば、法令用語としてもshareholderが「正式採用」されたりもしています。アメリカでは、州ごとに法律がばらばらだと困るので、専門家が集まって標準的なモデル法案を作って、それを州ごとの採択に委ねるといったことが行われていますが、その中の一つ、Revised Model Business Corporation Act(改正モデル会社法)では、株主を指してshareholderと言っています。

ちなみに、この改正モデル会社法上のShareholderの定義は以下のとおりです。

The person in whose name shares are registered in the records of a corporation or the beneficial owner of shares to the extent of the rights granted by a nominee certificate on file with a corporation. (会社の記録上、株式がその名義で登録されている者または会社に届出済みの名義人による証書が権利を付与している限りでの株式の実質的所有者) 

[注記] 後段がちょっとわかりにくい感じですが、要するに、株式の形式的所有者である名義人が、会社に届け出た証書を通じて、この株主権とあの株主権の行使を実質的所有者に認めてやってくれと通知してあれば、その限度で株主としての地位が認められるということです。

この他、米大企業のアニュアルレポートをのぞいても、shareholder がごく普通に使われています。実は昔、英訳をやっていた頃、どちらが多数派かを調べたことがあるのですが、たしかGMはstockholderでしたが、フォード自動車、マイクロソフト、アップルコンピューターなどは、自社の株主をshareholderと呼んでいます。あと、記憶に残っているところでは、コカコーロもshareholderでした。

結論として、アメリカ英語でもshareholderは一般的によく使われており、株主を指して言う場合、アメリカならstockholder、イギリスならshareholderとする決めつけには何の根拠もありません。

なお、ビジネス英単語のアメリカ英語とイギリス英語との違いについて、9月2日号で、特集記事を書きましたので、あわせてご覧いただければと思います。リンク切れしている場合は、以下のURLを入れてください。

http://tottocobkhinata.cocolog-nifty.com/bizieizakkicho/2005/09/post_09b4.html


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コメント

バンコクからはじめまして。
StockholderとShareholderの違い、
興味深く拝見させていただきました。
面白いですね、たしかに両方とも聞きますが
あまり深く考えたことはありませんでした。

[返信]

ロタさん、こんにちは。

http://cafebkk.exblog.jp/

拝見しました。銀ダラをジンダ〜ラとやる米人社長の話には笑いました。やはり何でも許せちゃうというのも考えものですよね。どこかで正気を保っているということでもあるのでしょう。許せないものがあるというのは。勉強頑張ってください。

日向

投稿: ロタ | 2005年7月28日 (木曜日) 午後 12時35分

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