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2005年8月24日 (水曜日)

ダウ平均とナスダックなどの株価指数の話

新聞の経済面では毎日かならず「昨日のニューヨーク株式市場のダウ工業株平均の終値は、前日比何ドル高の何万何千ドルだった。ナスダック総合指数は、何ポイント高の2000いくらで引けた」とアメリカの株式市場の様子を伝えていますが、ダウ平均で通っているダウ工業株平均やナスダックの中身が知られていないようなので、きょうはこれをとりあげます。

★ ダウ平均 (Dow Jones Industrial Average = DJIA、英語の通称は"the Dow")

30種の優良銘柄 (blue chip stocks)で構成される指数で、ニューヨーク証券取引所に上場されている企業の株式つまり銘柄のmarket capitalizationつまり時価総額(発行株式数かける株価で求めます)の2割程度に当たるとされています。一般にニューヨーク証券取引所で取引されている銘柄の時価総額は20兆ドル前後と言いますから、4兆ドル規模ということです。

(東京証券取引所の時価総額はバブル期に600兆円を超えたものの、バブルの崩壊で一時は200兆円強まで落ち、今は、300兆円台です)

ナスダックとの違いは構成銘柄の少なさもさることながら、輸送関連の銘柄と電力・ガスといった公益事業が入っていない点です(後述するとおり輸送関連と公益事業は別の指数として発表されています)。あと、指数のクセとしては、ナスダックと異なり、時価総額に応じたウェイトづけをしていないので、個々の銘柄の時価総額とは無関係に、ある銘柄が大きく動くと、それにつられてインデックス全体も大きく動くことになります(ウェイトづけしてあると、その銘柄の時価総額のウェイトが全体との関係で低ければ、そういった「小物」が大きく動いても、インデックス全体はあまり動かないで終わります)

構成銘柄は時折り入れ替えられています。19世紀にチャールズ・ダウがこれを集計し始めたときは、11銘柄だったそうで、最初は鉄道会社その他製造業などの事業会社ばかりだったのでIndustrialを名称に入れたようですが、今はご覧のとおり、金融サービスなども入っており、別段「工業」に限定されていませんから、「名が体を表していない」格好になっています。

ダウ平均の構成銘柄は以下のとおりです。

3M Co.
Alcoa Inc.
Altria Group Inc.
American Express Co.
American International Group Inc.
Boeing Co.
Caterpillar Inc.
Citigroup Inc.
Coca-Cola Co.
E.I. DuPont de Nemours & Co.
Exxon Mobil Corp.
General Electric Co.
General Motors Corp.
Hewlett-Packard Co.
Home Depot Inc.
Honeywell International Inc.
Intel Corp.
International Business Machines Corp.
J.P. Morgan Chase & Co.
Johnson & Johnson
McDonald's Corp.
Merck & Co. Inc.
Microsoft Corp.
Pfizer Inc.
Procter & Gamble Co.
SBC Communications Inc.
United Technologies Corp.
Verizon Communications Inc.
Wal-Mart Stores Inc.
Walt Disney Co.

ダウの指数は、これだけでなく、輸送関連の20銘柄を集めたDow Jones Transportation Average(ダウ輸送株指数)や電力・ガスなどの15銘柄を集めたDow Jones Utility Average(ダウ公共株指数)も知られています。

★ ナスダック (NASDAQ=National Association of Securities Dealers Automated Quotation System)

3,000を超える銘柄をカバーしている指数で、ハイテク株が多いことで知られています。ですから、ハイテクバブルとなれば、ダウ平均は上昇しているのに、ナスダック指数は下落といったことにもなりえます。またカバーしている範囲が広い分、乱高下しがちとなります。

ダウ平均の構成銘柄は大部分がニューヨーク証券取引所の銘柄ですから、ナスダックとダウとは何が違うかとなれば、第1に「生い立ち」の面から言えば、ナスダックとニューヨーク証券取引所の上場審査基準における違いがあります。簡単に言えば、ナスダックの方が審査基準が緩いので、様々な企業が上場されているわけです。10年前の記憶なので、今は違うでしょうが、当時は、ニューヨーク証券取引所に上場したいとなれば税引き前利益で200万ドル以上は要求されていたのに、ナスダックの方は100万ドル未満(たしか75万ドルぐらい)で済んでいました。

第2に、ダウ銘柄のほとんどがニューヨーク証券取引所の上場銘柄で占められていることからすれば、売りたいときに買い手がおり、買いたいときに売り手がいる(「流動性がある」という言い方をします)のに対して、ナスダック銘柄はそうとは限らず、売ろうにもさっぱり取引がなく、なかなか買い手が現れないということにもなります。

他の違いとしては、上のダウ平均の項で説明したとおり、ナスダックの方は時価総額別にウェイトづけしてありますので、「小物」の株価変動が全体をふりまわすようなことはないようにしくまれています。

なお、東京証券取引所に上場されている銘柄の数は、2300強で、一部上場銘柄は1600ぐらいです。一部上場と二部上場の違いは、前者の場合、過去何年の売上げがいくら、黒字企業でなければいけないといった審査条件が厳しいことにあります。

★ 他の指標

ダウ平均やナスダックが景気全体の現状を知り、かつ、企業業績の先行きを占う際に取りあげられ、その意味でマクロ経済がらみの指標という感じがあるのに対して、以下の指標は、主としてベンチマークとして使われます。

ベンチマークというのはファンドなどの運用成績がいいのか悪いのかを判断する指標のことです。ファンドの運用を受託する会社は資産を委託してくれる会社と契約交渉をする際、私たちに任せてもらえれば、S&P500に対して+2%を確保しますといった約束をするものですが、これはS&Pが100動いたら自分たちが預かっている資産のリターンは102動くようにしましょうということです。

そのぐらい大したことないとも言えそうですが、ほとんどのファンドがこうした平均株価のパフォーマンスに対して「負ける」のが普通ですから、結構大変なことです。プラス2%というのも。

S&P500種株価指数 (Standard & Poor's 500 Composite Index
スタンダードアンドプアーズは、企業が発行する債券を格付け (credit rating)する業務が一番有名な調査会社ですが、同社が集計している指数がこのS&P500です。全米の株式ファンドや年金基金のおよそ9割がこの指数を運用成績を評価する際の目安にしていると言いますから、プロがまっさきにイメージする株価指数となれば、このS&P500でしょう。

輸送、金融、電力などの大型株が中心の指標です。中身は400が事業会社、20が輸送関連、残り80を電力ガスなどの公益事業と金融が分けあっています。ここで言う大型株 (large caps) か小型株 (small caps)かは、発行株式数かける株価で決まる時価総額 (market capitalization)が大きいか小さいかということであり、large/mid/small capsのcapsもここから来ています。

ラッセルインデックス (Russell Index)
ラッセルという会社が集計し、発表している指数で、中小型株専門というイメージがあります。実際、Russell 2000 Index は小型株専門の指数として有名です。

このラッセルインデックスには、グロース株だけを集めたインデックスとバリュー株だけを集めたカテゴリーがあるので、もっぱらグロース株を組み入れたファンド(growth fund)やバリュー株中心を売りにしているファンド (value fund)は当然、こういったインデックスを運用成績評価のものさしにします。

グロース株というのは要するに急成長が見込まれる株のことで、上げ相場が続く限り大きな値上がり益を期待できる反面、下げ相場になってしまうとドスンと大きく下げる危険をはらんでいます。

バリュー株というのは会社の財務体質や提供している商品やサービスに照らして実力はあるのに、それが現時点では、見過ごされているか過小評価されており、したがって、これからの活躍を期待できる銘柄のことです。

グロース株かバリュー株かを決める一つの方法は、株価純資産倍率 (price/book ratio)が高ければグロース、低ければバリューと仕分けるものですが、結局はアナリストの眼力の問題です。ひところ高額所得者としてニュースに登場していた日本人の運用担当者は、記事を読む限り、こういった有望なバリュー株を「発掘する」という手堅い方法で成功し、その力量に対して会社が成功報酬を出した結果です。

MSCI KOKUSAIインデックス
Morgan Stanley Capital International Incが開発した株価指数で、世界の主要国をカバーしています。欧州、アジアといった地域別のものがありますが、この中でもこの "MSCI KOKUSAIインデックス"は日本語の「国際」がそのままで通っているおもしろい名前の指数です。意味は、日本を除く先進国の株価ということです。これを「MSCI国際指数」と翻訳している例を見かけましたが、プロの間では、MSCI KOKUSAIで通っていますから、国際指数などとやっては知識のなさがばれてしまいます。

FT-SE100 Index(FT100種株価指数、通称はFootsie)
英経済紙のFinancial Timesとthe Stock Exchange(ロンドン証券取引所)が発表している株価指数。1980年代の終わり頃開発されたものですが、それまでは、1930年代からの歴史があるFT Ordinary Share Indexだと30銘柄しかカバーしておらず、不十分だと言われていましたし、一方、FT All-Share Indexは全銘柄(と言っても、たしか200銘柄もありませんでした)というものはあっても、不定期に発表されるシロモノで、これも評判がよくありませんでした。そこで、こういった声に応えて世に登場したわけです。今では、すっかり定着し、イギリスの株価指数と言えばこのFT100です。

その他の株価指数
英語の経済ニュースで時折り登場する主要株価指数としては、香港のHang Seng Index、ドイツのDAX(優良銘柄30種の指数で、価格データの出所である証券取引システムの名前を取ってXETRA DAXと呼ばれることもある)そして、フランスのCAC-40 Index(パリ証券取引所の時価総額ランキングで上から40位までの銘柄をカバー)があります。

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