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2006年4月12日 (水曜日)

Businessは可算か不可算かで意味も違い、組合わさる動詞も違う

冠詞を付けて使うのか、あるいは冠詞は要らないのかという判別に当たって、ことをややこしくしているのが、可算用法と不可算用法のいずれもがある名詞の場合です。例えば、e-mailがそうであり、きょう取りあげる business がそうです。

簡単に言ってしまえば、すべての e-mail を念頭に置きながら言うときは、不可算の抽象名詞であり、原則として冠詞は付きません。端的には前置詞の目的語となっているときがその典型例であり、従って、「メールでご返事いただければ幸いです」と言いたいときは、I would appreciate a reply by e-mail. となります。

ここで、by an e-mail とやってしまうと、もともと不定冠詞の a が one を意味している関係で、それは「Eメールというカテゴリーに属するものを一通」という響きになってしまいます。

要するにどのメールといった話ではなく、抽象的にメールなるものといった感じで話をするときは、冠詞ナシということになります。

(Eメールが可算か否かについては、marine fish さんのブログ記事がとてもためになるので、ご一読をお勧めします)

可算用法と不可算用法のいずれもありうる business という言葉も同じような扱いとなります。そこで、まず数えられる business を見てから、数えられない business を取りあげ、可算名詞あるいは不可算名詞としての特質がどんなふうに出ているのかを確かめたいと思います。

ところで、ひとくちに business と言っても、様々な意味があります。例えば、手元にある電子辞書に入っている「リーダーズ」で引くと、以下のとおり、意味が羅列してあります。

1a やるべき仕事、職務、務め、本業、本分 etc
1b 事務、業務、仕事、執務、営業、家業 etc
1c しぐさ、所作
1d 排便、用足し、小用
2a 商売、商業、事業、実業
2b 店、会社、商社
3a 事柄、事件 etc
3b 最高、うってつけのもの、人

1d の「排便、用足し、小用」といった意味があることは寡聞にして知りませんでしたが、それはともかく、ビジネス英語でよく出て来るのはどれかという見地から整理すると、business には大きく分けて、三つの意味があります。第一に、事業活動の主体である企業ないし会社そのものを指す businessで、これは可算です。第二に、企業が携わっている事業活動ないしは業務を表す business があります。これは不可算です。第三に、事業活動の成果とも言える、売上あるいは集客、つまり客が来て儲かっているか否かを表す business があります。これも不可算です。してみると、事業活動の主体である会社を意味するときは、可算だけれど、会社が行っている事業活動やその成果である売上などを言うときは不可算だと言えます。

もう少し詳しく説明させていただくと、こういうことです。

★ 数えられる business

事業活動の主体である企業ないし会社、つまり事業組織を指して言うときの business は可算です。可算名詞と不可算名詞の本質については、「数えられない名詞:可算名詞と不可算名詞を分けるものは何か」という記事で3回に分けて説明しましたが、そこでは、「可算名詞で表されるものは、足したり引いたりできない」ということを申しあげました。この点、事業の主体である会社はまさにそのとおりで、X社とY社を足したら別のものになってしまいますし、X社の一部だけ、例えば、人事部だけ抜き出したら、その部分をもって、X社だと言うことはできません。一方、可算名詞で表されるものは、「個性のある単一体として捉えることができるものだ」ということも申しあげましたが、会社というものがこの要件を満たすのは言うまでもありません。

このように事業の主体という意味での business は可算名詞だということを確認することの意味は、可算名詞としての business については、以下のとおり、一緒に使う動詞などでの決まりきった組み合わせ (collocation) がある点に求められます。つまり、以下の組み合わせは、不可算用法の business には使えない反面、可算用法の business を使うときは必ず使わねばならないという性質のものなのです。

⇒  business + fold 会社が破綻する[例] According to the SBA, 80 percent of small businesses fold in their first five years.(米中小企業庁によると、小さい会社の80パーセントが創業から5年内に破綻している)

⇒  have a business 会社を持っている、経営している

⇒  run a business 会社を経営する[例] My father runs a small family business.(父は小さな同族会社を経営している)

なお、可算である、会社ないし事業組織を意味する business を使うときの冠詞の付け方はこうです。可算名詞ですから、原則として、He has a thriving business.(彼はもうかっている会社を持っている=彼は会社経営で成功している)のように、不定冠詞を付けて使います。しかし、The business he has inherited is not doing well.(彼が親から受け継いだ会社はうまく行っていない)のように、特定の会社を指しており、相手にもそうとわかることが明らかなときは定冠詞を付けます。

★ 数えられない business

数えられない business はさらに二つに分けることができます。(a) 会社が携わる事業活動そのものと、(b) その成果ないし産物である売上を指し、あるいは、客足を指すものの二つがあります。これを分ける意味は、それぞれ一緒に使う動詞などの組み合わせが違って来ることにあります。

A. 事業活動という意味の business

まず事業活動という意味での business は上で述べたとおり不可算ですから、原則的に冠詞ナシで使います。ただ、She's in the real-estate business.(彼女は不動産関係の仕事をしている)のように特定の事業/業務を指して言うときは、定冠詞を付けて使います。

一緒に使う動詞は典型的にはこういう組み合わせです。

⇒  be in business ビジネスに携わっている、商売をしている [例] My wife's an academic but I'm in business.(妻は研究者ですが、私は商売をしています)

⇒  do business with somebody 誰々と取引をする[例] We've been doing business with XYZ for over 20 years.(XYZ社とは20年以上も取引している)

⇒  go into business ビジネスを始める、商売を始める

⇒  drive out of business 廃業に追い込む、店をたたむ事態に追い込む[例] Many neighborhood shops have been driven out of business by that huge shopping mall.(あの巨大なショッピングセンターのせいで何軒も近所のお店が廃業に追い込まれている)

⇒  set up in business 商売を始める、店を始める[例] Anyone can set up in business as a sole proprietor.(誰でも個人事業主として商売を始めることができる)

B. 事業活動の産物としての売上、客足を意味する business

この種の business は、会社やビジネスの好調、不調を言うときに使います。会社の調子が悪いとか、売れ行き不振だといったことを言う、Our business is bad.は、Our business is not doing well.と言い換えても同じだということです。定冠詞を付けるようなケースは考えにくいので、基本的に冠詞ナシで通せます。
同じく不可算名詞である前項の場合の business と区別して論じる実益は、以下のとおり、一緒に使う動詞が前項の場合とは違うことにあります。

⇒  account for x percent of business 売上のXパーセントを占める[例] Our South American sales account for 20 percent of overall business.(当社の南米での売上は総売上のおよそ20パーセントを占めている。
MEMO: もっと改まった感じにしたいのであれば、account forに代えてrepresentを使うことができます。

⇒  attract business 売上を増やす、売上増につなげる[例] Telecom companies are trying to attract business by charging lower rates.(携帯の会社はみな割安な料金で売上を増やそうとしている)

⇒  damage business 売上に打撃となる、売上に打撃を与える[例] The sronger yen is damaging our business.(円高が当社の売上に打撃となっている)

⇒  do business 稼ぐ、売上を増やす[例] As we cater to skiers and snowboarders, naturally, we do a lot of business in the winter.(うちはスキー客相手の商売なので、当然、冬場に売上がはねあがる=稼ぎ時となる)

⇒  have business 仕事がある、繁盛する [例]Gift shops around this temple have a lot of business during the holidays.(このお寺のまわりのみやげ物屋は、休みの時期になるとおおいに繁盛するものです)

⇒  drum up business 売上にテコ入れする

⇒  lose business 業績が悪化する、売上が落ちる、売上に響く[例]If the yen continues to gain strength, exporters would lose business.(円が引き続き強くなっていくようだと、輸出企業の売上に響くことになる)

なお、動詞以外との組み合わせとしては、以下のとおり、もっぱら形容詞で状況を説明するものになります。例えば、相手から、How's business? (会社の業績はどうですか?=景気はどうですか?)と尋ねられたら、こういった組み合わせで答えるのが普通だということです。

⇒  business + be bad 業績が冴えない、売れ行きが悪い[例] Business has been bad lately. We can hardly make two sales a week.(最近、売上が芳しくない。一週間で二つ売れるか売れないかだ)

⇒  business + be booming 売れ行きが絶好調だ

⇒  business + be good  業績がいい

⇒  business + be slow 売れ行きが低調だ

ところで、以上の事業活動を指し、あるいは事業活動の成果である売上や客足を指す business が不可算名詞であることの意味をちょっと確認しておきますと、こういったもの、つまり会社が携わっている事業活動を考えた場合、一部だけを抜き取って来ても、その会社の事業活動であることに変わりはありません。カメラとコピー機を作っている会社だとして、カメラ部門だけ抜き取って来ても、それが会社の事業活動であるという本質に変わりはありません。客足も同じで、あるレストランの春先の客足と夏のそれとを比べた場合、客足だということでは同じです。

先に引用したブログの記事でも説明してあるとおり、いずれも抽象的にものごとを捉えている言い方であることから、元々明確に、「ここからここまで」と境界というものを観念するのがむずかしく、したがって、ワインはこぼれて散ってもワインであることに変わりがないのと同様、一部だけでも全部と何ら変わらないと言えます。まさに、この点にこそ不可算名詞らしさがあると言えそうです。

★ まとめ

同じ business でも、事業活動の主体である組織を意味するときは可算用法であり、原則として不定冠詞を付けて使います。また、一般的な話をするときは、Japanese businesses are...という具合に冠詞ナシの複数形を使います。それに対して、事業活動そのもの、または、その事業活動の成果である売上や客足を指して言うときは、不可算用法であり、原則として冠詞ナシで通すことになります。

なお、上でご紹介した用例は、今執筆中の「会社で使う英語:基本単語208(仮題)」の一部です。この用語用例集は会社で使う英語の中から、「これだけ知っていれば何とかなる、逆に知らないと困る」単語を208個ピックアップし、ご覧のような動詞との組み合わせを紹介した上、ちょっとイメージしにくいものには例文を付けたものです。また特色として、可算か不可算か、はたまた、可算と不可算の両方があるのかを明示した上、それに応じての冠詞の付け方も説明してあります。9割かた原稿はできていますので、夏前には出版できるかと思います。ご期待ください。きっと役立ちます。



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